大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和48年(ネ)861号 判決

控訴人

東京高等検察庁検事長

布施健

同(第一審被告補助参加人)

山田一郎(仮名)

同(同)

海野花子(仮名)

右両名訴訟代理人

横山正一

ほか一名

被控訴人

畑中宏(仮名)

右法定代理人親権者・母

畑中玉子(仮名)

主文

1、本件控訴をいずれも棄却する。

2、控訴費用は控訴人山田一郎および海野花子の負担とする。

事実《省略》

理由

(一)  職権によつて案ずるのに、原判決(正本)が第一審被告検察官に送達されたのは昭和四八年四月二日であり、右第一審被告の補助参加人である控訴人両名の代理人に送達されたのは同月五日であるところ、第一審被告は控訴申立てをしないまま控訴申立期間を徒過したが右控訴人両名は同月一八日当裁判所に控訴状を提出して控訴申立てをしたことは当裁判所に顕著な事実である。ところで、右の場合補助参加人の控訴申立期間は被参加人の控訴申立期間に限られるとする見解(最高裁判所昭和二四年(オ)第三二一号同二五年九月八日第二小法廷判決、民集四巻九号三五九頁、同裁判所昭和三六年(オ)第四六九号同三七年一月一九日第二小法廷判決、民集一六巻一号一〇六頁参照)に従うならば、控訴人両名の右控訴申立ては控訴申立期間後になされたものとして、不適法視されるべき筋合であるが、当裁判所は次の見解によつて、控訴人両名の右控訴申立ては控訴申立期間内になされた適法な申立であると解する。すなわち、本件のごとき認知の訴について言渡した判決は、身分関係の画一的確定の必要から、第三者に対してもその効力を有するもの(人事訴訟手続法第三二条第一項、第一八条第一項であるから、この場合、利害関係人として訴訟に参加したものは、補助参加人というが補助参加人の訴訟行為に関する民事訴訟法第六九条第二項および第七〇条の適用を受ける余地がなく、むしろ、被参加人と参加人との間にはいわゆる必要的共同訴訟に関する同法第六二条が準用され、共同訴訟人と同様の訴訟行為をすることのできる地位を有するものと解するのが相当である(最高裁判所昭和三七年(オ)第一一二八号同四〇年六月二四日第一小法廷判決、民集一九巻四号一〇〇一頁参照)。そうすると、本件においても同様の地位にある補助参加人たる前記控訴人両名の控訴申立期間は、当然被参加人である第一審被告検察官のそれとは独立に進行するものと解されるので、控訴人両名の前記控訴申立てはその申立期間になされた適法なものといわざるを得ない。

(二)  (本案についての判断)《以下、省略》

(畔上英治 上野正秋 岡垣学)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例